南海トラフとは何か?
そもそも「トラフ」の意味とは何か?
南海トラフの場所はどこにあるのか?
今回は、できるだけ分かりやすく書いていきたいと思います。
また、南海トラフ地震はなぜおきるのか?
もし発生した場合、この日本はどうなってしまうのか?
想定されている未来図も含め、お伝えしていきたいと思います。
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南海トラフとは何か?意味は?
南海トラフの意味ですが、まず最初に気になるのは「トラフ」とは何かということです。
南海トラフを英語に訳すと「Nankai Trough」となりますが、
Trough(トラフ)とは、「くぼみ、谷」といった意味合いになります。
海底にある「くぼみ、谷」といった感じですね。
なんとなくイメージが浮かんだでしょうか?
ここでは、わかりやすく「ミゾ」と表現しましょう。
そこで、南海トラフがどこにある「ミゾ」なのかを知ってもらうために、
まず、日本周辺には4つのプレートがあることをご説明しなくてはなりません。
そこで、下の図を参照してもらいたいのですが・・
日本はプレートという「大きな岩の板」4枚で構成されています。
「ユーラシアプレート」、「フィリピン海プレート」
「北米プレート」、「太平洋プレート」
パズルに例えると、これら4枚のピース(プレート)が組み合わさって、
1枚の日本の絵が完成するイメージですね。
さて、南海トラフに関係しているのは、このうち2つのピースになります。
「ユーラシアプレート」「フィリピン海プレート」
この2つのプレート間にある深いミゾのことを「南海トラフ」といいます。(下図参照)
(「ユーラシアレート」と「フィリピン海プレート」に挟まれた部分に、赤い点線がありますね。それが南海トラフというミゾです。)
この「南海トラフ」は4000mほどの深さがありますが、そもそも水深4000mの海底の溝のことを「トラフ」と呼びます。
ただ、4000メートルがどれだけの深さかはイメージしにくいですよね。
そこで例を挙げると、富士山の標高が3775.51mですので・・・・
南海トラフは、すっぽり富士山が納まるくらいの深さになります。
ですから、それだけ深いミゾが海底に存在しているとイメージしていただければと思います。
南海トラフの場所はどこからどこまで?
南海トラフの深さについてはわかりましたが、範囲はどこからどこまでなんでしょうか?
これについては地図でご説明したほうがよさそうですね。
下図をご覧ください。
赤いラインが「南海トラフ」になります。
場所:南方沖約100kmの海底
範囲:駿河湾から東海地方、紀伊半島、四国にかけて東西に走る。
長さ:700km
まるで日本に寄り添うような、南海トラフ。
700kmの範囲にわたる約4000mの深さの溝がすぐ隣にあるということです。
南海トラフ地震はなぜおきるのか
さて次に、「南海トラフ地震」がなぜ発生するかということについてです。
先ほど、日本や日本周辺は4枚のプレートから成り立っているというお話をしました。
まず、それぞれのプレートが「大きな岩の板」であるイメージを持ってみると分かりやすいと思うのですが、
実は、プレートは一年に「数cmずつ」ズリズリと動いています。
そのため、プレートとプレートの境目では衝突がおきて、圧力がかかるのです。
圧力が加わったその結果、岩盤などが変形ますが、その変形の度合いのことを「ひずみ」といい、
この「ひずみ」が限界に達したときに、亀裂が入ったり、大きく動いたりします。
これが地震の正体なんですね。
では、南海トラフ地震がなぜ発生するのか、もう少し詳しくお話ししますね。
まず、南海トラフは「ユーラシアプレート」と「フィリピン海プレート」の境目にあると、先ほど勉強しました。
“日本の立場”から見ると、この2つのプレートはそれぞれ「異なる特徴」があるのですが、わかりますか?
その特徴とは・・・
・ユーラシアプレートは「陸のプレート」。
・フィリピン海プレートは「海のプレート」。
ということです。
ユーラシアプレートには「日本」が乗ってますが、フィリピン海プレートは「海だけ」ですよね?
実は、この特徴の違いが「南海トラフ地震」を引き起こす仕組みとなっているのです!
その仕組みには、
・海のプレートは海水を含んでいるので「重い」。
・陸のプレートは海側に比べて「軽い」。
・・・ということが関係しています。
そこで想像してほしいのですが、
海と陸のプレートが衝突しあうとどんなことが起こると思いますか?
要するに、重いプレートと軽いプレートがぶつかり合ったらどうなるかということです。
答えは・・・
重い海のプレートが、軽い陸のプレートの下に「潜り込んでいく」という現象が起きてしまうのです!
そのイメージ図がこれです。
海のプレートが矢印方向に潜り込んでいくとき、同時に陸のプレートを引きずり込んでる様子が伝わってくれれば嬉しいです。
さて、この状態の後に何が起きるかというと、引きずりこまれた陸のプレートが元の状態に戻ろうとするんですね。
ちょうど、プラスティック・ボードを曲げた後、ぱっと手を放したら元の状態に戻る、あのイメージです。
このとき、プレート間が大きくずれ動いて地震が発生し、津波を引き起こすことがありますが、こういった特徴の地震を「海溝型地震」といいます。
南海トラフ地震は津波を発生させる「海溝型地震」の特徴があるということですね。
ちなみに、2011年3月11日に発生した東日本大震災はこの「海溝型地震」でした。
あの津波のインパクトは、あなたの脳裏に今でもハッキリと焼きついていると思います。
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南海トラフ地震ではどんなことがおきる?
さて、南海トラフ地震は「海溝型地震」の特徴を持っており、津波を発生させることがわかりましたが、実はその他に「直下型地震」の特徴もあわせ持つと考えられています。
「直下型地震」とは何かというと、引きずりこまれた陸のプレートが元の状態に戻ろうとするときに、陸地の内部にも強い力が加わり、岩盤が割れて地震が発生することがあり、これが「直下型地震」なのです。
多数の死者を出した阪神・淡路大震災はこの「直下型地震」でしたが、南海トラフ地震はこの特徴をも兼ね備えているということ。
要するに、
南海トラフ地震=「海溝型地震」+「直下型地震」ということなのです!
もしこれが発生すれば、具体的に想定されているのは「最大34m」の大津波や、M9クラスの巨大地震、東海地方では「震度7」の激しい揺れなど・・・
恐ろしいことではありますが、激震と津波が同時に襲ってくるということです。
つまり、3.11と阪神・淡路を合体させたような地震になるイメージですね。
想定されている被害予想は?
次に、南海トラフ地震が発生した場合の被害予想です。
深刻な数字が並びますが、あくまで予想なので、
「一つの目安」としてお読みください。
・死者数:最悪32万人
・食糧不足:3200万食(3日間で)
・飲料水不足:4800万リットル(3日間で)
・毛布不足:520万枚
・コンビナートの破損:890施設
・固定電話の不通:930万回線
・エレベーター閉じ込め:2万3千人
・孤立する集落:2300集落
・被災地で対応困難な入院者数:15万人
・避難所にいる5歳未満の乳幼児:19万7千人
・道路被害:4万1千ヵ所
・鉄道被害:1万9千ヵ所
・港湾の係留施設被害:5千ヵ所
・中京と京阪神の帰宅困難者:380万人
・経済被害:220兆3千億円
あくまで予測ですが、あまりにも悲惨というしかありません。
もしこれが現実になってしまったなら、再建するまでどれだけの年数を要するのでしょうか。
さいごに
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
ひとたび起これば国難ともいえる「南海トラフ地震」ですが、その被害は東日本大震災の10倍を超えるとされています。
その国難が、現時点では「30年以内に70~80%」の確率で発生すると予測されています。
50年以内ですと「90%以上」です。
南海トラフでは100~150年の周期で、たびたび大地震が発生してきた歴史がありますが、現在ではその周期が迫っているのです。
また、南海トラフ地震は「南海地震・東南海地震・東海地震」という3つの地域で発生する3連動型地震の総称なのですが、
「東海地震」にいたっては、最後に発生した地震から160年以上も経過しています。
周期が100~150年にもかかわらず、160年以上も経過してるのです。
「周期を超えても地震が無いなら、もう起きないのでは?」
そのように考える方もいらっしゃるかもしれませんが、
プレートは「一定」に動き続け、
圧力(ひずみが溜まる)⇒解放(地震)を繰り返す特徴があります。
つまり、
いつ発生するかは明確でないにせよ、比較的近い未来に「南海トラフ地震」が起こる確率は、残念ながらかなり高いということです。
われわれが今、早急にしなくてはならないこと、
それは、「防災」に力を入れることです。
そのなかで大切なことは、「自分の命は自分で守る」ように訓練しておくことと、緊急時のための「蓄えをしっかりする」ことです。
災害はあなたが準備するのを待ってはくれません。
もし「今」・・
たった「今」大地震があなたの地域で発生したら、心構えや準備はできているでしょうか?
おそらく、胸を張って「準備できている」と答えられる人は少ないでしょう。
かけがえのない自分の命を守るため、愛する家族を守るため。
人は皆、命は「一つ」しかありません。他の何にも変えることができない大切な命。
災害には「後からでいいや」が通用しない以上、備えるタイミングは「今」をおいて他にないということです。
「今」から防災に力を入れることで、あなたと、あなたの家族の【未来】を変えられるかもしれません。ぜひ取り組んでいきましょう。
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