南海トラフ地震が「こない可能性」はどれくらいなのでしょうか?
南海トラフ地震は、TV番組や雑誌で特集を組まれるなど、近年になってこれまで以上に切迫性が叫ばれていますが、
その影響もあってか、「遅かれ早かれ必ず来る大地震」というイメージが当たり前になってきているし、
すでに「それがいつ来るのか」ということだけに焦点が合てられている印象があります。
しかし、この記事にたどり着かれたあなたは、きっと今こう思っているはずです。
「南海トラフ地震がこない可能性だって、少なからずあるんじゃないのか?」
「これだけ騒いでるけど、結局は来ないのではないか?」
今回は、南海トラフ地震が「こない可能性ははたしてあるのか?」という視点で、あらためてこの課題を見つめ直していきます。
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過去に繰り返し発生している南海トラフ地震!
南海トラフ地震が「こない可能性」はあるのか?
南海トラフ地震が懸念されている理由の一つに過去の地震歴があります。
まず、「南海トラフ」とは、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境目にある、4000m程度の海底の溝のことですが(トラフ=4000m程度の海底の溝)、
これまで、ここを震源域とした巨大地震が90~150年の間隔で、何度も起きているのです。
過去の地震歴は以下の通り。
<南海トラフの地震履歴>
・1605年・・・・慶長地震M7.9
・1707年・・・・宝永地震M8.6
・1854年・・・・安政地震M8.4
・1944年・・・・昭和東南海地震M7.9
・1946年・・・・昭和南海地震M8.0
南海トラフ地震が発生するという根拠とは?
上の履歴からわかるように、その発生間隔は
102年⇒147年⇒90年⇒2年となっており、
だいたい90~150年間隔で巨大地震を繰り返しています。
最後に地震が発生してから、現時点では70年以上経過しているので、
確かに、そろそろ発生するという予測がたてられるわけですね。
しかし先ほども言いましたが、周期は90~150年です。
あと20年くらいは発生しないはずなのに、政府をはじめ、各メディアが「いつ起きてもおかしくない」と騒いでいるわけは、なぜなのでしょうか?
実は、南海トラフ地震は「南海地震」・「東南海地震」・「東海地震」という3つのエリアの連動地震の総称なのですが(下図参照)、
3つの地域に分けて考えた場合、最後に地震が発生してからこの周期を超えているエリアが「1つだけ」あります。
つまり、南海トラフの3つのエリアのうち、90~150年経過しても未だに地震が発生していない地域があるということです。
(出典:PRESIDENT Online)
※(図の解説:黒の太線は南海トラフ。点線で囲ってある3つの丸は、左から南海・東南海・東海となり、下の年表にそれぞれ対応しています。)
先ほどご紹介した地震に、安政地震(1854年)がありましたね。
この地震は「東南海~東海」の範囲・・・
つまり南海トラフの「中央~右側」を揺らした地震と考えられていますが、注目したいのは安政地震後の履歴です。
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下記が南海トラフの安政地震後の動向です。
<安政地震後の地震履歴>
・「東南海エリア」⇒90年後に昭和東南海地震が発生⇒ひずみが解放!
・「東海エリア」⇒地震が未だにこない(161年以上経過)⇒ひずみが今も蓄積中!
南海トラフ地震のエリアの一つ、「東海地震」が150年の周期を超えています。
地震のメカニズムは、「ひずみ」が溜まったプレートが限界に達し、亀裂が入ったり、大きく動くことで発生しますが、
「ひずみ」が解放された後は、また定期的に地震は繰り返されるという特性があります。
しかし、東海エリアでは地震はまだ発生せずに、「ひずみ」が161年以上も蓄積されている・・・。
したがって、これまでの周期から考えた場合、
残念ながら「南海トラフ地震発生の可能性は十分ある」と結論せざるをえないのです!!
なぜなら、東海地震が発生すれば、連動して南海トラフ地震が起きる可能性があるためです。
南海トラフ地震の発生確率
次に、確率の面から「南海トラフ地震がこない」理由が見つかるか考えてみましょう。
現在、発表されているものの中に「南海トラフ地震が30年以内に発生する確率」というものがあります。
実は、この確率は、2018年1月を基点に再度見直されることになり、
現状の70%から、「70~80%」に変更となりました。
ちなみに、10年以内の確率はというと「30%」です。
この値を見る限り、脅威は刻々と近づいていると感じざるを得ませんが、
そもそも、この「確率」とはいかなる方法で算出されているのでしょうか?
早速、調べてみました。
地震の確率とは何が根拠なのか?
地震における確率ですが、算出法は難しい計算を駆使してるのかと思えば、
比較的簡単に出されているようです。
例えば・・・・
ある地域で、「100年間」の地震観測歴があったとします。
ここでは仮に、その「100年間」で5回の地震があったとしましょう。
この場合、100÷5=20で、20年間に1度の確率で地震がくると考えるのだそうです。
間隔が20年ですから、
例えば、前の地震から10年の間に次の地震がくる確率は、50%になるということですね。
意外とシンプルですが、こういった過去の実績から未来を予測するという意味では、野球選手の打率にも似ているということが言えます。
例えば、2013年のある時点でのイチローの打率は25.1%でしたが、南海トラフ地震が10年以内に起こる確率は30%かそれ以上です。
つまり、イチローが当時ヒットを打つ確率よりも高い確率で、南海トラフ地震がやってくるということなのです。
具体的にイメージすると怖くなってくるほどですね。
さいごに
今回のテーマは『南海トラフ地震が「こない可能性」はあるのか?』でしたが、
過去の地震周期や確率の高さを踏まえると、「南海トラフ地震はくる可能性が高い」と判断するしかなさそうです。
この記事を書く前は、少しでも「こない可能性」について挙げていきたかったのですが・・・。
ただし、確率は完ぺきではありません。
また、南海トラフ地震の歴史には、改めて過去の文献などを調べたところ、
不明瞭な点も多数浮かび上がってきたという事実もでてきています。
つまり、歴史の認識が間違っている可能性も否定できないということです。
もし、現在の定説とは違った地震歴、地震の範囲などが明らかにされれば、
確率の数値は大きく変わってくるということですね。
しかし、いずれにせよこの驚異が目の前から跡形もなく消え去ってくれるわけではありません。
南海トラフに「ひずみ」が溜まっていることは確かであり、問題はそれが「いつ解放されるのか」ということなのです。
そして、我々が生きている間に溜まっていた爆発的な力が【解放】する可能性は極めて高いということを覚えておかなければなりません。
そしてそうなったとき、たった一つしかない【命】を守れるのは、他でもない「あなた自身」です。
あなたは、救助が来るまでの「数日間」、自分の命を守ることができますか?
家族1人1人の命を守り抜くことができますか?
東日本大震災のとき、普段から防災を意識し訓練していた人達が大勢助かったという事実があります。
命を守り抜いたのは岩手県釜石市の小中学生3000人です。
3.11での岩手県内の死者・行方不明者は合わせると5,794人。
深刻な被害の中、見事に生き抜いたのです。
それを人は『奇跡』と呼びましたが、やはり日頃からの防災意識の高さは震災が起きたときに如実に表れてくるということを思い知らされました。
あの災害は多くの人命を失いましたが、同時にいくつもの教訓を残しました。
その中の一つが、【日頃からの防災、訓練の重要さ】です。
そして防災訓練で一番大事なことは、有事を想定した【シュミュレーション】です。
家の近くの避難場所はどこか?
自分の家から一番近い避難所まで走って何分かかるのか?
防災リュックを背負って走ると何分くらいなのか?
これは実際にやってみないとわからないことなのです。
災害はあなたが準備するのを決して待ったりはしません。
むしろ、気を抜いているときに襲い掛かってくる可能性が高いのです。
つまり、防災を始めるのは【今】をおいて他はないということです。
防災はあなたとあなたの家族の【未来】を変えるかもしれません。
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